施工例
和式トイレはなくならない?メリットとデメリット、洋式へのリフォーム費用は
和式トイレを使うことはありますか?
大手トイレメーカーのTOTOによると、2018年度に出荷された同社の便器のうち99.6%が洋式で、和式トイレは0.04%だったそうです。
出典:TOTO『洋式化ブック』2019年10月(オンラインカタログが開きます)
1963年には和式トイレが83%、洋式17%でしたが、1976年に半々、2012年には1.5%にまで減りました。
膝の曲げ伸ばしが痛い高齢者には和式はつらいもの。また、外国人訪日客にも和式トイレは不評です。
和式トイレのメリット
それでも、公衆便所や学校では今も和式トイレが残っています。
和式トイレ派は
不特定多数が使う公衆トイレ。体が触れる洋式は嫌だ
との意見をお持ちのようです。
2021年10月の読売新聞の記事では「病気でトイレに行く頻度が高い一方、他の人が座った便座に腰掛けるのに抵抗感がある」という方の投書が紹介されていました。
また、近年は和式トイレ利用時の姿勢による健康効果も指摘されています。
腰を落としてしゃがむポーズは、骨盤底筋群を鍛えるスクワットそのもの。和式トイレなら1日に何回もこのポーズを取り、結果として下半身が鍛えられます。
ところが、トイレだけでなく生活全般が欧米化してしゃがむ機会が減り、下半身の衰えにつながっていると指摘されているのです。
骨盤底筋群を鍛えると
妊娠中・産後の尿失禁症予防に効果が見込める
ぽっこりおなかが平らに
姿勢が良くなる
などのメリットがあると言われています。
一方、しゃがんだ姿勢での排便そのものにもメリットがあります。
いきまなくても排便しやすい
2019年9月、英BBC放送が制作したトイレに関する動画ニュースが話題になりました。
上半身を起こし、洋式トイレに腰掛けた状態では排便に平均114〜130秒かかるのに対し、しゃがんだ姿勢では51秒だったという研究を紹介したのです。
理由は、上半身を起こした状態だと直腸から肛門にかけてが曲がった状態になってしまうから。排便しにくくなり、ものすごく踏ん張らないといけません。
しゃがむ、つまりひざと胸が近づいた状態だと直腸〜肛門がまっすぐになります。こちらのNHKサイトにある写真で姿勢と内臓の状態を確認してみてください。
和式トイレのデメリット
一方、和式便器のデメリットをざっと挙げてみましょう。
車椅子利用者や下半身をけがしている人は使いにくい
膝の曲げ伸ばしが困難な高齢者らも使いにくい
便器が浅いので周りに飛沫が落ちる
すその長い衣服が床にこすれる
和式便器がある公衆トイレには、床に水と洗剤をまいてデッキブラシでこすって流す掃除を前提に床に排水口が設置されているのをよく見かけます。こうした清掃方法は「湿式」というのだそうです。
しかし湿式清掃では、かえって菌が増殖してしまうことがTOTOの研究で分かっています。
ある小学校トイレ内の床に付着した菌を調べたところ、湿式清掃の部分(和式便器の個室)では乾式清掃の部分の460倍検出されたそうです。水があると菌が増えてしまうからです。
便が飛び散った床を踏んだ靴であちこち歩き回り、その床をうっかり手で触れば口に菌が入ってしまうかもしれません。
「臭い」「汚い」「暗い」3Kともいわれる公衆トイレ。「臭い」「汚い」は湿式清掃が原因でしょう。水と洗剤をまいてゴシゴシこすると達成感はありますが、衛生上は逆効果だったようです。
和式トイレのメリットを生かすなら
「他の人が使った便器に座るのが嫌」。こちらは好みの問題ですので、いかようにもできません。便座クリーナーや紙シートで少しでも嫌悪感を撮り除ければいいですね。
しゃがむことで下半身を鍛える件については、日々の生活にスクワットや体操を取り入れれば別に和式便器でなくても良さそうです。
スルッと排便する姿勢に関しては、洋式便器用の足踏み台が売られています。子どものトイレトレーニングにも使えるようですし、便秘でお困りの方は検討してはいかがでしょうか。
トイレ用サポート足置き台 ヨークデル(定価1500円、税抜き)
便器を和式から洋式に入れ替える費用
新型コロナウイルス感染症対策の意味でも、洋式トイレへの入れ替えには大きなメリットがあります。洋式に交換できないケースはあるのでしょうか?
結論からいって、できないことはありません。
ただしトイレスペースが狭い場合などは交換する便器が限定されたり、、間取りを変えたりする必要があることも。大がかりな工事になり、費用が高くつきます。
和式便器にかぶせるだけの便座(TOTOのスワレット)なら3万〜4万円台です(工事費用除く)。ただ、取り付けられる和式便器が限られています。
和式から洋式にする場合は配管や電気の工事が必要になる場合があります。同時に壁紙や床の張り替えの工事をするなら20万円以上はかかると見込んだ方が良いでしょう。新しい便器のグレードによっては、30万円以上かかることもあります。
TOTOによれば、1回の洗浄に必要な水量は和式便器だと13〜11リットルなのに対し、節水型洋式便器なら4.8〜3.6リットルで済むそうです。年間の水道料金にして約9万円節約できると試算しているので、2〜4年で元が取れることになります。
以前、こちらの記事で和式を洋式にする工事をご紹介しました。
段差があるトイレだったので、床のタイルを撤去しコンクリートを流して平らにする必要がありました。
また温水洗浄装置のついた便座にするにはトイレ内に電気配線も必要です。こうした水道・電気工事のほか便器・便座、内装などの工事費の合計で38万円(消費税別)でした。
トイレリフォームの期間、どこで用を足す?
上記の工事期間は3日でした。店舗でしたので、トイレが使えない期間はお店を休業していただくことになります。
一般のご家庭のトイレリフォームの場合、床・壁などを工事しなくてもよい場合などは1日で完了できます。
床・壁などの工事も行う場合は2~3日程度かかります。
その間は近隣の施設を利用していただくか、事情によっては仮設トイレを設置することもあります。
以前、住んだまま水回りをリフォームした事例でもご紹介したように、工事していない時間帯(夜~朝)はトイレを使用できる状態にし、その日の工事を完了させるように工程を組むのが基本です。
補助金を使ってリフォームできる場合
要介護認定を受けている方なら、20万円までの住宅改修工事費用のうち9割まで(つまり18万円。収入により補助率は変動します)を補助してもらえます。
厚生労働省資料「介護保険による住宅改修」(PDFが開きます)
要介護認定を受けている方の住宅のみで、店舗などは補助金の対象になりません。
申請にはケアマネジャーが作成する書類のほか、工事費用の見積もり書や工事の箇所、内容や図面なども必要です。まずは担当ケアマネジャーにご相談いただき、講師については当社にご連絡くださいね。